エンタープライズは 2026 年に AI エージェントをどう構築しているのか
AI エージェントは実験段階から、組織の技術スタックに欠かせない存在へと移行しました。では、エンタープライズは実際にどのようにエージェントを活用しているのでしょうか。
私たちはリサーチ会社 Material と共同で、業界や企業規模を横断する 500 名以上のテクニカルリーダーを対象に調査を行い、各組織が現在どのようにエージェントを展開しており、この先にどのような機会を見出しているのかを明らかにしました。
調査結果から見えてきたのは明確なパターンです。組織はシンプルなタスクの自動化から、チームや業務機能をまたぐ複雑な多段階ワークフローへと舵を切っています。
データが示すこと
半数を超える組織 (57%) がすでに多段階ワークフローにエージェントを投入しており、そのうち 16% は複数のチームにまたがる部門横断プロセスを動かしています。2026 年には 81% がより複雑なユースケースに取り組む計画で、39% は多段階プロセス向けのエージェントを開発中、29% は部門横断プロジェクトにエージェントを展開予定です。
導入を牽引しているのはコーディングです。組織の約 90% が開発支援に AI を利用しており、86% は本番コードにエージェントを投入しています。各組織は開発ライフサイクル全体で時間短縮を報告しており、計画とアイデア出し (58%)、コード生成 (59%)、ドキュメント作成 (59%)、コードレビューとテスト (59%) のいずれでも効果が表れています。
ただし、その影響はエンジニアリングにとどまりません。データ分析とレポート生成 (60%)、社内プロセス自動化 (48%) は、最もインパクトの高いユースケースの上位に入っています。今後 1 年を見据えても、56% がリサーチおよびレポーティング向けのエージェント導入を計画しています。
特筆すべきは、80% の組織が AI エージェントへの投資からすでに測定可能な経済的リターンを得ていると報告している点です。
現場での姿
成果を上げている組織は、エージェントを実験ではなく、インフラの中核として扱っています。
Thomson Reuters は、同社の AI リーガルプラットフォームである CoCounsel を Claude で動かしています。かつて弁護士が何時間もかけて手作業で文書を検索していた作業が、150 年分の判例と 3,000 名のドメインエキスパートに数分でアクセスできるようになりました。
サイバーセキュリティ企業の eSentire は、専門家による脅威分析を 5 時間から 7 分にまで圧縮し、AI による分析がシニアセキュリティエキスパートと 95% の確度で一致しています。ヘルスケア分野では、Doctolib がエンジニアリングチーム全体に Claude Code を展開し、レガシーなテストインフラを数週間ではなく数時間で置き換え、機能のリリース速度を 40% 向上させました。
リテール業界でも同様の成果が見られます。L'Oréal は会話型アナリティクスで 99.9% の精度を達成し、月間 44,000 名のユーザーがカスタムダッシュボードの完成を待たずに直接データを問い合わせられるようになりました。
これからの道筋
2026 年にリーダーが向き合うべき問いは、AI エージェントを採用するかどうかではなく、どのように戦略的にスケールさせるかです。データからは 3 つの主な課題が浮かび上がっています。既存システムとの統合 (46%)、データへのアクセスと品質 (42%)、そして変革管理 (39%) です。
10 人中 9 人のリーダーが、エージェントによってチームの働き方が変わってきていると報告しています。従業員は定型的な作業の遂行から離れ、戦略的な活動、関係構築、スキル開発により多くの時間を使うようになっています。
この移行を進めるには、目的に合わせて構築されたインフラが必要です。コーディングおよびエンタープライズワークフローに最適化されたモデル、Agent SDK のようなフレームワーク、そしてチームがプロトタイプから本番により速くたどり着くための Claude Code のようなツールです。
また、AI エージェントの試金石となってきたのはコーディングですが、それはまだ始まりにすぎない、ということも分かってきました。エージェントがリサーチ、カスタマーサービス、財務計画、サプライチェーンオペレーションへと広がっていく中で、今から専門性を築いていく組織こそが、この技術が成熟するにつれて不釣り合いなほど大きな価値を取り込んでいくことになるでしょう。
2026 State of AI Agents レポートの全文はこちらからご覧いただけます。